格闘する思想


目次


序章  思想の強度をたしかめる             
    本橋哲也


第一章 原点の政治学――国家と資本の暴力を暴く     
    萱野稔人
 国家とは暴力である/国家のナショナリズム、国民のナショナリズム/「安心」が「治安」にすり替わる/排除の根拠としてのアイデンティティ/日常化する「戦争」/ヨーロッパの社会民主主義/文化研究の役割は/承認される居場所とは


第二章 労働するジェンダー――男らしさの覇権争いを超えて    
    海妻径子
 「自分」から始まる男らしさの問い直し/「ベビーカーを押す」という特権/ジェンダー塹壕戦である/ジェンダーフリーと「名誉男性」/やりがいが、なぜ搾取されるか/運動と組織の再生産のために


第三章 映画から革命へ――「同じこと」の潜勢力を見出す      
    廣瀬純
 闘争の最小回路からマルチチュードへ/ラテンアメリカ、資本主義の実験場/教養なき思考の実践/新しい欲望の創出/映画的運動の非時間的な力/九条は今日の文学である


第四章 エンパワーのための教育――「柔らかな鎧」を身につける  
    本田由紀
 家庭と教育と仕事の爆弾ゲーム/「一億中流」の崩壊、あやうい公共圏/結局は「人間力」?/展開の種子としての専門性/ゆらぐ現実を可視化するために肉声の束を


第五章 不穏なる教養――無償の世界を解き放つ          
    白石嘉治
 サミットを撃つ文学/有は無から生まれる/二一世紀の生活保険、ベーシック・インカム/三つのエコロジーと精神の自由/政治的なものから政治へ、再び


第六章 表象暴力への抵抗――パレスチナとともに          
    岡真理
 カナファーニーの衝撃/死者の声を描くこと/ホロコーストショアー、フルブン、ナクバ/不正につぐ不正の歴史/文学、自他を結ぶ言葉


第七章 学びへの権利――来たるべき「大学」のために       
    西山雄二
 真理の我有化と公共性/国際哲学コレージュ/空白のエコノミー/哲学と映画/大学は役に立っている!/旅の途上にある大学のために

編者あとがき

参考文献リスト