ブルーノ・ムナーリの本たち MUNARI I LIBRI 1929-1999

ブルーノ・ムナーリの本たち MUNARI I LIBRI 1929−1999

ブルーノ・ムナーリの本たち MUNARI I LIBRI 1929−1999



-1958 SUPPLEMENTO AL DIZIONARIO ITALIANO [イタリア語辞典別冊付録]

引用の引用 P.90

「‘すみません、タバコを1本いただけないでしょうか?’ ‘あいにく、差し上げられませんが’ ‘大丈夫です、ありがとう’というような会話など無数の会話を、イタリア語では、ただの一語も言葉を発することなく、身振り手振りで行うことができる。イタリア人は、数えきれないほど多くのもごとや、動作や、感情をジェスチャーで表現することができる。そして、イタリア人のジェスチャーの特徴は、ある種の精神状態や心理的なニュアンスを、話し言葉よりもうまく表現できるという点だ。イタリア人のこの技は、世界的に有名であるにも関わらず、ほとんどの外国人、いやイタリア人であえもが、すべてのジェスチャーを理解しているわけではない。そこで、この『SUPPLEMENTO AL DIZIONARIO ITALIANO [イタリア語辞典別冊付録]』がたいへん役に立つ。本書でブルーノ・ムナーリは、現在使用されている数多くのジェスチャーを集めて解説している。新しいものや、外国から取り入れられたものもあるが、ほとんどはイタリア固有のもので、いつからか分からないほど大昔から、どんな町でも村でも、競技場でも、兵舎でも、港でも、貴族のサロンでも使われてきたものだ...」
(序文より)

人間による人間のしぐさの写真たちが、とてもユーモラス。


-1992 VIAGGIO NELLA FANTASIA [ファンタジアの中での旅を]

引用の引用 P.194

「汽車の時刻表の最初のページでは、まるで町が偶然に並べられたかのように表示されている。これらの町を互いに結びつける黒い線、これが鉄道網である。汽車の切符は上着のポケットにしまい、スーツケースは棚に収めて、さあ出発だ。さて、町の表す点を結びつける記号でできた、このネットワークについて考えてみよう。紙のように平たい国を想像して、先が太くて丸い黒いフェルトペンで、垂直に持ったペンがスキップするようにして、紙の上を適当に点を描いてみよう。
紙の上に適当に散らばった、これらの点に町の名前をつける必要はない。これを基準点として、直線や点線など自分の好きなものを使って、点と点の関係や、形、接続、グループを作り上げよう。このゲームの目的は、これらの点を結んだり、つなげたり、グループ化したりするのに、さまざまなやり方を考え出すことだ。窓の外には緑の畑が広がり、その背景の奥に時折、その軸となる農家の建物が見え、緑の平野全体がメリーゴーランドのように回転する。この汽車には(実は誰もが持つ人生の汽車だ)コピー機まである。さっそくこの点の集まりをコピーしよう(20枚?27枚?18枚?35枚?...)。
これがコピーされた用紙の束で、このテーブルの上に置くとしよう。上着のポケットからボールペンを取り出し、点をつなぎ始めることにする」
(序文より)

打抜きされた表紙のコピーが続いてゆく。
立体に見えたり、幾何学模様に見えたり、平面を漂う生き物に見えたり。
余白に裏写りした前の点が、鏡のように完全に反転して、複製している。