嫁に行くつもりじゃなかった

嫁へ行くつもりじゃなかった

嫁へ行くつもりじゃなかった

恋に対する情熱が枯れきっていても、生命維持に対する温度が低くても、心穏やかに毎日暮らしていくために、契約を結ぶことは可能である。しかも結構、簡単である。昔はもっと難しかったのかもしれないけれど、情報化社会のおかげで即時性かつ双方向性をもって、円滑に無理なく、好きな相手とデュオユニットを結成できた。悪くない。朝食メニューは相変わらず全然違うけど、音楽性の不一致による解散は、まず当面起きなさそうだ。(p.20)

ものすごく読書家で勉強家であることは知っていたから、ものすごいオタクでもあるのだと信じ込んでいた。しかしこの世には、読書家で勉強家で博識でメモ魔、だけれどもオタクではない、という不思議な人種もいる。(p.93)